How to 胴切り 

何のひねりもないタイトル、胴切りのやり方を教えてくださいとの依頼があったので。
昔このブログのどこかに書いた記憶はあるのだが、検索しても出て来ないので多分何かの記事の一部として適当に書いたんだろうなと…。掘り返そうとしてみたけれど記事数が多くて断念。

という訳で、先程胴切りしつつ写真を撮って来たのでぬるーく当方のやり方を解説。

本日の被害者、ズールブロン産ゴルドニアナ。斬るつもりでちょっと前から準備していたのでコンディションが整っている。
ピントが変なところに合っているがこれでOK。土がポイント。

胴切り

【胴切りに必要なもの】
・胴切り繁殖したい株
・切断するための道具:当方では糸、60番のミシン糸愛用、ナイロンもしくは木綿どちらでも。ナイロンの方が葉の間の根元まで入れる時に滑りが良い、が肉質が硬い株だと引いた時に伸びて切れる場合もあるので番手や素材は自分の使い易いものを。
その他、人により細い銅線、テグス、刃物など色々使用・併用。私は色々やった結果、ミシン糸に落ち着いた。
2.5号鉢サイズの株を切るには50cm程度の糸の長さが扱い易いが、これもお好みで。短か過ぎると握る部分が少なく力が入らない。指先で糸を摘まんで引っ張るのではなく、手でしっかり握って引いた方が綺麗に切れるので長めの糸が良い。
・ピンセット:先が細いもの。先が平べったい切手用があれば尚良し。

【事前準備】
葉があまりにかっちりと詰まってしまっていると糸が入りづらく、結果葉の途中を切ってしまったり成長点を斜めに切ってバラバラにしてしまったりするので、良く詰まった綺麗に出来た株より微妙に徒長した株の方が切り易い。
そのため、葉の間に糸が入らないくらい詰まっている株は事前に1週間程陰置きして、ちょっと伸びたかも?という位に徒長させておくとbetter、しかしやり過ぎないように。

植え替え直後の根が落ちついていない株は胴切りはやめた方が良い、根からの水分が上がらず胴切りした下半分が体力不足で立ち直れず子株が出る前に枯れてしまうことがある。

深植えの株に糸を入れても糸が水平に引けないため、斜めに切ってしまう事故が起こり易いので、あまりに深植えの場合は株を引き上げておく。上の画像は深めに植わっていた株を鉢を叩いて土を緩め、株を握って持ち上げた後。

【胴切り】

胴切り

切りたいラインに糸を掛ける。ぐるっと一周、株の大きさと葉数によるが、葉を円周状の層として見た場合の、最低でも下から2層目と3層目の間に糸を入れるのがお勧め。
胴切りした後の下半分に残す葉の数が少な過ぎると出て来た子を成長させるための養分が少なくなるし、胴切りに失敗して葉を傷つけてしまっても駄目になった葉を取り除いてもまだ1層分の余裕がある。

2層残せれば1層目と2層目の間からも子株が出る場合があり、一度収穫した後に上の層の葉を取り除けばまたそこから子株が出るのも期待できる。

胴切り

ピンセットで糸を摘まんで出来るだけ葉と葉の間の奥に糸を押し込む。周りの葉をピンセットで傷付けないようにそっと。
糸を入れ終わったら、糸の両端を持ってクロスさせ、右から来た糸を左手、左から来た糸を右手で持ち、少しずつ引きながら、糸を葉の付け根に滑らせて芯の傍まで入れる。

糸が完全に葉の付け根をぐるっと巻いた感触(それ以上引いても糸に余裕がなく突っ張る)があったら、後は糸を上に引かないよう、左右を水平に保ったまま力を入れてぐぐっと引く、とこうなる。

胴切り

少し葉が切れてしまって薄皮などが残っていたら、ピンセットで取り除く。
子株は葉の付いていた跡から出るので障害物はない方がスムーズに子が出て来る。

葉の間に土が入っていた場合こんな風になるので洗い流す。

胴切り

切り飛ばした上半分も、同じく葉の跡から根が出るのでそのままより葉を数枚取り除いた方が発根が早い。
外した葉は葉挿しに。

胴切り

【胴切り後】
下半分は切り口を乾燥させて、その後は切る前と同じように管理を。水遣りは切る前と同じで問題なし。

上半分は普段の根なし掻き仔の扱いと同じように。
個人でやり方が違うと思うので、切り口を乾燥させる/させない、消毒する/しない、発根剤を使用する/しないはお好みで。

清潔な土に植え付け、暫くは乾燥気味に管理。発根の兆しが見えてきたら通常通りの潅水再開、発根前に葉が萎れて来たら潅水して土を湿らすか霧吹きなどで湿度を上げる。この辺りもそれぞれの通常のやり方と同様で。

消毒剤でコーティングしない場合(私はしない)切り口にカビが生える場合があるので私は発根前はたまに持ち上げてチェックしている。カビは最悪全部が腐る場合もあるが、土が清潔ならあまり発生しない。あとうっかり発根していた根を折ったりするので気にならない場合は触らない方が吉かも…。

こんな感じで、胴切りした時期と株の種類によるが早いもの(時期)なら1週間程度、遅ければ1ヶ月ほど掛かって下半分の切り口からカルスが発生し、子株へと変化する。

上半分の発根は掻き仔より遅めな場合が多いように思う、半年位へそを曲げることもあるのでのんびりお待ちを(笑)

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なお、上記を参考にして胴切りしたが失敗した!には責任持てません。
胴切り繁殖は手っ取り早い栄養繁殖で慣れればそう失敗もないけれど、大手術ではあるので勿論リスクもあります。1株しかない株なら尚更殖やしたいですが駄目になるリスクもご勘案下さい。

また、胴切りで殖やしたい代表でもある斑入り株についてですが、基本「糊斑」は胴切りで親と同じ糊斑の仔は殆ど採れません。
色素のある層の構成の具合でなかなか糊斑がそのまま再生して出て来る事はなく、全斑(色素がなく自力生存不可能)か、斑がない緑の子株が出ることが殆どです。体感では糊斑の再生率は10%以下です。たまーに出ることがあるかな程度、ほぼ胴切りしても無駄です、上半分の発根が叶わず結局上下ともに駄目にしてしまったことも。実は白蛇伝ですが。勿体ない(笑)
*縞斑等の株から殆ど色素がなくなって白(黄色)くなった株、一部緑の筋が表面に残っているだけの株は「糊斑」ではありません。

また、糊斑でなくても綺麗な斑が取れる確率はそんなに高くないので、斑入りの胴切りはギャンブル性が高く、良い子が採れた時の喜びはひとしおで尚更楽しいと言えましょう…あれ?(笑)

以上、当方の胴切りのやり方でした。ご参考になれば。

2019/01/13 Sun. 00:00 [edit]

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謹賀新年2019 

新年あけましておめでとうございます(もう松取れたよ!)
ほったらかしブログですが本年もよろしくお願い致します

Haworthia gordoniana NE of Zuurbron

2019初ヤフオク出品開始しています、何かお目に留まりましたらよろしくお願いします。

出品中

上の写真のゴルドニアナ、右側の大き目の株も出品中。
EUにて実生のZuurbron産、恐らく同産地の別データの個体を掛けた思われるため採集番号はなし。
短葉で端正なロゼットになり、葉縁やキールの鋸歯が細かく密集するなかなかの優良個体(手前味噌)。
未だ需要があるようなので出品してみました、2016年の胴切り繁殖の最後の仔。

今年ものんびり余剰苗を出品していく予定です。

ブログの更新もたまにはせねばと思っていますが、暇暇に過去UPした1万枚オーバーの画像を整理している最中で、そちらが進んでからになるかと…画像盗用が余りに酷いので、最近の写真はサイトのURLを透かしで入れているけれど、過去画像も順次入れ替えて行く予定なのですが何しろ数が多いので難航している最中。

ブログ更新しなくてもメールチェックはしておりますので、何か御用の場合は遠慮なくメール(右カラムのフォームもしくはプロフィール欄にアドレスがあります)にてお問い合わせください。

2019/01/09 Wed. 12:10 [edit]

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