13日の金曜日 

不吉な日だとされているようだが、実際の所根拠は曖昧で日本人にとっては有名なおちゃらけホラー映画のタイトルでしかない。
王道パターンの水戸黄門的に次の展開が分かる予定調和なスプラッタムービー。

ホラーはキライではないというか、むしろ大好きな方なのだが血飛沫あげつつ生首が吹っ飛ぶようなのはちっとも怖くなくて面白くない。
因縁話で因果関係がはっきりした物、例えばどこそこに幽霊が出て、そこでは以前殺人事件が…というのも面白くない。
じわじわと怖さが来るもの、何故そうなるのか理由が分からない理不尽なもの、怪談というより奇妙な話、というのが好きなのである。

ブログのネタがない時に、つい怖い話でも書いてしまおうかと思う時があるが、親しい友人でブログを読んでくれている方の中に泣くほど怖い話が嫌いだという人を知っているので…w

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先日ホテルに泊まっていたが、お定まりの絵が飾ってあって、それを引っくり返すと裏にお札が…という話はよくあるので、もちろん引っくり返してみた。が何もなし。独り寝の夜にそういう真似をするのは甚だ悪趣味だが。フロアには4と9のつく部屋はなかったし、なにかアリなら話のネタになるのではと思ったのだった。

学生時代に合宿で泊まった民宿の部屋の床の間に、何故か髪がボサボサの日本人形と、お世辞にも巧いとは言えない、虚ろな目をした女の子を暗鬱な色使いで描いた油絵のキャンバスが剥き出しで置いてあったことがあった。
夜中にその絵の目が動いたとか動かないとかで後輩の女の子が大泣きしたのだが、それを横目に眠れない者同士で怪談などしていた時に聞いた小話。

当時中学生だか高校生だかだった彼は、夏休みの一日、ゲームセンターのクレーンゲームであるキャラクター人形をゲットした。特に何かのアニメやゲームのキャラというわけでもなく見えたという。稚拙な安っぽい作りでキャラクター人形にしては全く可愛げがなかったそうだ。

その晩、寝る前にそこらに放り投げておいたその人形がなんとなく気になり、見るとやはり可愛くなく、むしろ不気味に思えたので捨ててしまおうとゴミ箱に投げ込んで布団に入った。

しばらくして寝苦しくて目が覚めると、捨てたはずの人形が何故か布団の上に乗っていた。ゴミ箱に投げたが入っていなかった、ヒモか何かが引っ掛かったんだろうと再度ゴミ箱に今度はしっかり突っ込んでまた布団に潜り込んだ。

だがまたしばらくするとふと目が覚め、布団の上に先程と同じように乗っている人形を発見した寝惚けた彼は、唐突に怒りに駆られ、人形を引っ掴むと窓を開けて庭に向かって投げ捨てた。しっかり施錠してまた眠りに就くと…

お約束だがまた人形とともに目が覚めた。

全く訳が分からないが眠さの方が勝っていた彼は、それでももう一度人形を窓から外に放ると、布団を頭まですっぽり被って無理に寝た。寝惚けていたので変だなぁとは思ったものの、怖いとかは感じなかったという。

翌朝。人形は何事もなかったように彼の布団に乗っていた。
…夜露と泥で汚れていたという。


その日、彼の小さな従兄弟が遊びに来たので、彼はその人形を従兄弟にあげた。従兄弟は何も知らずに人形を持ち帰り、その後は知らないそうだ。


一番怖いのはオマエだよ、と彼に突っ込みを入れて大笑いで話が終わった。一番怖いのはいつも人間ですね、というオチである。

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2006/10/13 Fri. 23:59 [edit]

Category: 雑感

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