サイファのこと、その後 

サイファが旅立って3週間が経ちました。

沢山の方から心の篭ったお悔やみや励ましを頂き、日薬とはよく言ったもので一日一日気持ちはめまぐるしく変わるものの段々と静かな気持ちに落ち着きました。

その後サイファの病理検査の結果が出て、原因がはっきりしましたのでこちらに残しておきます。

飼い主としてはやっと納得が出来、気持ちに一区切り付きましたことをご報告しておきます。
沢山のお気持ちありがとうございました。

サイファの事についてこちらのブログに長文を書くのは多分これで最後です。
以降は動物カテゴリは元気な仲間達の親ばか日誌に戻ります。

サイファの検査結果は飼い主も予想だにしないものでした。あまりに意外な結果に聞いたその日はやっと全てに納得が出来たもののショックで逆にテンションが上がってしまい、1日経ってから放心状態になっていて何も手に付かず今日までブログを放置していたという体たらく。

後はご興味のある方だけお読み下さい。いつも通り超ー長いですが。


* * * * * * * * * *

些細な目の怪我から口の中の出来物の発見、手術とここまでは大きな変化もなく、手術後も亡くなる2日前に急変するまでは食欲も残り、走ってみたりバスキング台に飛び乗ってみたり、アリアが目に入ればボビングしてみたりとそれなりに元気そうな様子を見せていたサイファ。
その後急変から亡くなるまでの急激な病状の変化とスピードに何が起こったのか全く分からず、解剖と病理組織検査をすることに。内臓の大部分の組織と骨組織を検査に出して頂いた。

その結果が先日出て死因がはっきりしたのだが、飼い主には皆目見当が付かず、そして最期を看取り解剖をして下さった先生も多分殆ど予想されていなかったのではないかと思える意外な所見だった。


病理組織検査の診断名は『髄外性骨髄腫』。


簡単に言うと「白血病」のような血液のガン。そして骨髄腫では通常は骨髄内で異常が起こるのだが、外の内臓に腫瘍が増殖するタイプで悪性とされるもの。よくある病気かと言うとそうではなく珍しいもの。
最後の血液検査の白血球数の異常な増加はこれが原因だった。

内臓のほぼ全てに腫瘍細胞が発生していて一部の臓器ではその殆どの組織が腫瘍細胞に置き換わっており、いわゆる末期ガンの状態。

腫瘍は数ヶ月といったスパンで進行した物ではなく、半年以上かもっと前から発生して進行して末期になっており、今回口内の腫瘍かその手術かがスイッチになっただけで、他のもっと些細なことがきっかけになっていつ急変してもおかしくない状態だった。
また、万が一もっと早く内臓の腫瘍が疑われ穿刺で細胞検査をしていたとしても、この状態では検査が逆に致命傷になった可能性もあり、そして病気が分かっていたとしても、助けられたかと言うと答は…ということだった。

最後の入院前のレントゲンでは骨の異常は一切見当たらず、これは骨髄腫が髄外性のため骨には異常が起きなかったためで、また内蔵の腫瘍もしこりなどは作っておらずこれもレントゲンからは判別しなかった。
(通常の骨髄腫の場合は骨に溶解が起きるためレントゲンで分かり、腫瘍もしこりを作ればレントゲンに写る場合がある。)

血液検査の結果も目立つのは白血球数の爆増だが、激しい炎症や細菌感染による場合が多く、その他の数値も既に全身状態が悪化していたために悪くなっていると見えるものが殆どだった。解剖後の臓器も外見からでは腫瘍細胞がそこまで増殖しているようには見えなかった。

つまり生きているうちに出来る検査では発見が難しく、病理検査の結果が出て、そして亡くなって初めて診断が出来る状態だったという結論が出た。

これで飼い主としての混乱した気持ちにやっと決着が付いた。
一言で言うとどうしようもない、骨髄腫は原因も不明な病気。そして何故もっと早く…何故あの時…といった後悔もしても意味のないものだった。
振り返って見て、諦めではなく、最善を尽くしてサイファも最後まで頑張ったし飼い主も出来ることは全てしたと確信を持って言える。

フトアゴヒゲトカゲ サイファ

* * * * *

ただサイファの中では腫瘍が大半の臓器を占めておりどの臓器もまともに機能していたとは思えない状態で、通常なら弱るのが当たり前で何事もなく元気にしていたのが逆に信じられず不思議で仕方がなかった。

しかしサイファの姉妹を飼っている方とのお話の中で、腫瘍とサイファの体力や免疫力がギリギリのラインでバランスを取っていて、症状が表に出ない状態を保っていたのでは?と言われて腑に落ちた。
人間でも同様のことがある。余命宣告されても病状が進まず、不思議なバランスで永らえることがある。

動物は人間に比べて痛みに強い=痛みを感じる感覚が弱い、特に爬虫類(両生類・魚類などは更に)は痛みに鈍感と言われるがそれでも激しい痛みにはちゃんと反応する。
それがほんの十数日前まで元気だった、少なくとも元気そうに見えたのは嘘ではなくサイファ本人も不調は感じていなかったのだろうと思う。痛くて苦しかったのなら毎日走り回るのも、(些細なことで拒食するのも爬虫類の一面でもあるし)食欲旺盛に食べるのも無理だっただろう。こういう面が所謂動物は最後の最後まで弱みを見せないということなのかも知れないが…。

だが飼い主が一番傍で見ていた限り、急変するまでは腫瘍による痛みや苦しさは殆どなかったんだろうなと、それだけは今更ながら安心している。
思えば昨年夏の喉の腫れが何らかの兆候だったのかも知れないが、ウイルス性のものだろうという診断で、その後免疫力を上げる為とずっと続けていたプロバイオティクスも腫瘍が体調を崩すのを抑える効果を発揮していたのかも知れない。

* * * * *

ギリギリまで飼い主に弱る姿を見せず、元気でいつも通りに傍に居てくれた強くて優しいサイファ。
最後の入院の行きの車中ではキャリーバッグの中で何度も上を見上げて私の顔を見ていて、ずっと前足で私の指を握っていた。今思えば最期を感じてお別れを言っていたのかも知れない。トカゲにそんな知能はない?いいんだ、飼い主の思い込みでも。

早く病気が分かっていれば温存療法でもう少し長生きさせてやれたかも知れないと堂々巡りはするけれど、上に書いたように元気過ぎるサイファに病の兆候は全く見て取れなかったし、診察の結果も事前に察知することは無理だった。今は瀬戸際まで元気で居てくれたことに感謝してもし尽くせない。


段々弱っていく姿を一切見せず、最後まで殆ど苦しそうな様子も見せず(急変後もただだるそうで眠そうな様子だった)、急変してからはあっと言う間に、そして最期を飼い主に見せずに逝ってしまった。
飼い主に長く心配を掛けることなく、つらい看病もろくにさせず、手を煩わせることなく…本当に飼い主孝行なトカゲだった。

「そうか?」 とか言ってそうな気がしたり。
サイファ

勝手に飼い主のベッドで先に寝ていたり、放牧中に寝そべると必ず添い寝に来ていたサイファ。
サイファ

アリアのことも大好きだった。後のことは任せなさい、立派に育てるから。
サイファ

* * * * *

病理検査の結果や病気のことを考え、書いている間は冷静なのだけれど、こうやって写真を見て思い出すとまだ涙腺が緩む。

長く生きられない子だったからこそ、トカゲとは思えない程あそこまでべったりに馴れて濃厚な時間を過ごしたのだとも思う。一緒に居た2年半で一生分触れ合ったのかなと。

原因が分かったことでやるせない気持ちや後悔は消えて、今はただサイファが居ない淋しさと、深刻な病気だったにも関わらず元気な様子で傍に居てくれてありがとう、私のところに来てくれてありがとうという気持ちで毎日遺影を眺めています。まだまだいい思い出だけで振り返るには程遠いけれど、ほぼ以前通りの生活に戻りました。
飼い主の方の心配までして下さった皆様に心から感謝。

本当に可愛い賢い大好きな自慢のトカゲでした。飼い主だけでなく、こちらをご覧の方にも沢山愛されて幸せなトカゲだったと思っています。ありがとうございました。

サイファが残してくれた物をアリアと他の子達に生かし、みんなを健康に天寿を全うさせてやろうと日々世話に明け暮れる毎日に復帰。アリアも毎日投薬のために無理矢理に濃厚接触していたら、逆に馴れて飼い主嫌いも薄らいだように思います(笑)

そしてそう遠くないうちに、サイファの跡継ぎになるウロコの生えたパートナーを迎えるつもりでいます。サイファがあまりにも愛しかったので、もう一度。

その際は懲りないヤツだなーとどうぞ生暖かく見守って下さい。サイファに培われたトカゲ中毒は何度辛い目に遭ってもきっと治らないんだと思います。

エレミヤ拝
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2010/05/21 Fri. 23:31 [edit]

Category: フトアゴヒゲトカゲ

Thread:爬虫類  Janre:ペット

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コメント

>匿名の皆様

・お気遣いありがとうございます。
サイファに笑われないよう頑張ります(笑)

・爬虫類にも腫瘍は多いようです。
選抜交配、インラインブリードを重ねるうちに悪い因子も知れずと積み重なっていくのかも知れませんね。
サイファが最後苦しまなかったのが何よりです。

・サイファが色んな方とのご縁を繋いでくれました。大事にしていきたいと思っています。
皆様の所の家族達も元気で長生きしますように♪

皆様今後とも宜しくお願いします。

エレミヤ #- | URL | 2010/05/22 16:27 * edit *

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